目次
1. 原状回復とは?
2. 原状復帰とは?
3. 現状回復とは?
4. 現状復帰とは?
5. 原状回復を行わないとどうなる?
6. オフィスや店舗物件の原状回復が必要な範囲
・6.1 原状回復が必要とされる範囲
7. 賃貸物件(個人向け)の原状回復が必要な範囲
・7.1 借主負担と貸主負担の判断基準
8. 原状回復工事の流れ
・8.1 事前調査と見積もり
・8.2 契約締結とスケジュール策定
・8.3 工事実施
・8.4 最終確認と引き渡し
9. 原状回復費用の主な内訳
・9.1 内装の修繕
・9.2 設備の撤去
・9.3 床や壁の補修
・9.4 クリーニング費用
10. 物件タイプ別の原状回復 総額費用
・10.1 総額の目安まとめ
11. 原状回復で注意すべきポイント
・11.1 契約内容の確認
・11.2 中途解約時の原状回復
・11.3 業者との事前打ち合わせ
12. 業者選びのチェックポイント
13. よくある質問
・13.1 原状回復の費用は経費として計上できますか?
・13.2 退去後に追加の費用を請求されることはありますか?
・13.3 原状回復にはどのくらいの期間がかかりますか?
・13.4 定期的なメンテナンスで原状回復費用を抑えられますか?
14. まとめ
原状回復とは?

原状回復とは、賃貸物件やオフィススペースを契約時の状態に戻すことを指します。「原状復帰」と同じ意味を持ちますが、「原状復帰」は建設用語、「原状回復」は法律用語(一般的に賃借契約書で用いられる)で多く使われます。
原状復帰とは?
原状復帰とは、「原状回復」と同じく賃貸物件やオフィスなどを退去時に、入居時の状態に戻すことを指します。建設業界や不動産業界の現場で慣習的に使われる表現です。
現状回復とは?
現状回復とは、現在の状態に戻すという意味で、厳密には誤用とされています。原状回復と混同されることが多いですが、契約時の状態ではなく、現在の状態に戻すことを指すため、通常は使用しません。
現状復帰とは?
現状復帰とは、文字通り「現在の状態を基準にして、その状態に戻す」という意味があります。賃貸借契約の場面で誤って使われることがありますが、正しくは契約当初の状態に戻す「原状回復」を使います。
原状回復を行わないとどうなる?
企業がオフィスや商業施設、工場を利用する際、契約終了時にこの原状回復を実施することが求められます。
企業にとって、原状回復とは単なる契約義務の履行にとどまらず、次のテナントや事業活動のための重要なステップです。そのため、適切な原状回復を行わないと、契約違反や賠償問題に発展する可能性があります。
また、住宅物件や店舗・オフィス物件によってそれぞれ原状回復の範囲や内容が変わってくるため、施工前に確認することが重要です。
オフィスや店舗物件の原状回復が必要な範囲

オフィスや店舗物件などの企業向けの原状回復は、個人向けの賃貸物件とは異なり、大規模かつ複雑な原状回復が必要となる場合が多いです。たとえば、オフィスビルや工場、商業施設においては、広大な床面積や専門的な設備、機械の撤去などが含まれます。
原状回復が必要とされる範囲
| カテゴリ | 対象 | 備考 |
|---|---|---|
| 内装の仕分け(構造部分) | 壁、天井、床などの躯体部分 | 原則として賃借人の負担ではない |
| 内装の仕分け(付帯設備) | 照明器具、エアコン、給排水設備 | 契約内容により異なる |
| 内装の仕分け(内装) | 壁紙、床材、間仕切り | 賃借人が変更した部分は原状回復が必要 |
| 設備の撤去 | 什器備品(机、椅子、棚) | 原則として賃借人が撤去 |
| 設備の撤去 | 空調・電気設備 | 契約内容によって異なる |
例:
- オフィスに設置したパーティションやカーペットの撤去、原状の壁や床への復旧
- 店舗に設置した厨房設備の撤去、排水管の清掃
- オフィス全体を改装した場合、契約に基づき原状回復を行う
賃貸物件(個人向け)の原状回復が必要な範囲
個人向けの賃貸物件における原状回復は、企業向けの大規模なものとは異なり、比較的シンプルで個人が対応しやすい範囲に収まります。
通常の使用による損耗や経年劣化は含まれず、借主が故意に加えた改造や汚損の修繕が中心となります。たとえば、壁に取り付けたフックやピン穴、ペットによる傷、喫煙による黄ばみなどが修繕の対象になります。
借主負担と貸主負担の判断基準
| 区分 | 具体例 | 負担者 |
|---|---|---|
| 故意・過失による損傷 | 壁に大きな穴、床の焦げ跡 | 借主 |
| 通常の使用による損耗 | 壁紙の変色、床の擦り傷 | 貸主 |
| 設備の故障(経年劣化) | エアコンの自然故障、給湯器の寿命 | 貸主 |
| 清掃不足による汚損 | カビの放置、油汚れの蓄積 | 借主 |
| 画鋲程度の穴 | ポスター掲示等の通常使用範囲 | 貸主 |
| タバコのヤニ・臭い | 壁紙の変色、臭いの染み込み | 借主 |
民間住宅での原状回復において特に注意が必要なのは、敷金との関係です。契約書に明確な記載がない限り、借主は「通常の損耗」による修繕費を負担する必要はありません。
原状回復工事の流れ

1. 事前調査と見積もり
業者が現地を訪れ、どの範囲を原状回復する必要があるかを確認します。修繕箇所のリストアップや費用の見積もりが行われます。
2. 契約締結とスケジュール策定
業者との契約を結び、工事の具体的なスケジュールを策定します。企業の業務に影響を与えないよう、計画的に進行させることが重要です。
3. 工事実施
壁や床の修繕、設備の撤去、クリーニングなどが含まれます。大規模な原状回復では、複数の業者が連携して作業を進めることが一般的です。
4. 最終確認と引き渡し
工事完了後、業者と企業の担当者が最終確認を行い、問題がないことを確認します。これにより、原状回復の完了が正式に認められます。
原状回復費用の主な内訳
1. 内装の修繕
壁紙の張り替え、ペイントの修復、天井の補修などが含まれます。
費用例: オフィスの壁紙張り替えは、1平方メートルあたり1,000〜2,500円が相場です。大規模オフィスでは数十万円から数百万円に達することがあります。
2. 設備の撤去
エアコンや照明、配線など、オフィス特有の設備の撤去が必要です。IT企業などでは、サーバーラックや配線が多く、その撤去には専門業者の作業が必要です。
費用例: オフィスのITインフラ設備の撤去には、1拠点あたり10万円から50万円以上かかることがあります。
3. 床や壁の補修
特にオフィスや店舗では、家具や備品による床や壁の損傷が多く見られます。
費用例: フローリングの修繕費は1平方メートルあたり3,000円〜5,000円が相場です。100平方メートルあたり30万円以上の費用がかかることがあります。
4. クリーニング費用
床、窓、トイレなどのクリーニングです。
費用例: オフィスの全体クリーニング費用は、1平方メートルあたり500円〜1,000円が相場です。中規模オフィスの場合、20万円前後になることが一般的です。
物件タイプ別の原状回復 総額費用
| 物件タイプ | 総額費用の目安 | 主な費用項目 |
|---|---|---|
| 中規模オフィス(100〜200㎡) | 65万〜170万円 | 壁紙張替え、フローリング修繕、配線撤去、クリーニング |
| 大規模オフィス(500㎡以上) | 250万〜430万円 | 壁紙・床材全面張替え、空調・照明撤去、大規模クリーニング |
| 商業施設・店舗 | 200万〜420万円 | 特殊内装撤去、床・壁修繕、設備撤去、クリーニング |
| 工場・倉庫 | 300万〜680万円 | 機械設備撤去、床修繕、配管・電気設備撤去 |
総額の目安まとめ
- 中小企業のオフィス: 50万円〜200万円程度
- 大企業のオフィスや大規模商業施設: 200万円〜500万円以上
- 工場や倉庫(特別な設備を含む場合): 300万円〜700万円程度
物件の状態や契約内容によっても費用は変動します。カスタマイズされた内装や設備が多いほど、費用が増加する傾向があります。複数の業者に見積もりを依頼することで、適正な価格帯を把握することが大切です。
原状回復で注意すべきポイント
1. 契約内容の確認
賃貸契約を結ぶ際、原状回復の範囲や条件を詳細に確認することが必要です。特に、通常の損耗や経年劣化がどのように扱われるのかを明確にしておくべきです。
2. 中途解約時の原状回復
中途解約を行う場合、原状回復のタイミングや範囲についてのトラブルが発生することがあります。契約書に明確な規定を盛り込みましょう。
3. 業者との事前打ち合わせ
業者とのコミュニケーション不足は、トラブルの原因となることが多いです。工事の範囲や費用についての詳細な打ち合わせを行い、合意事項を明文化することが重要です。
業者選びのチェックポイント
信頼できる業者を選ぶために、以下を確認してください。
- 実績と経験 — 大規模なオフィスや工場の原状回復に精通した業者を選ぶ。過去のプロジェクト実績や顧客の評判を確認
- 費用の透明性 — 見積もりが明確で、追加費用が発生しないかどうかを確認
- 対応力 — 緊急の依頼や特別な条件に対して柔軟に対応できるか
よくある質問
Q. 原状回復の費用は経費として計上できますか?
事業用テナントの原状回復費用は、事業の経費として税務上の処理が可能です。具体的な計上方法(修繕費 or 資本的支出)については、税理士に相談することを推奨します。
Q. 退去後に追加の費用を請求されることはありますか?
管理会社の検査で不合格箇所があった場合や、原状回復の範囲について認識のズレがあった場合に追加請求が発生することがあります。工事の範囲を事前に書面で合意しておくことで防止できます。
Q. 原状回復にはどのくらいの期間がかかりますか?
住居用であれば数日〜1週間、事業用オフィスであれば1〜2週間、工場や大規模店舗であれば2〜4週間が目安です。
Q. 定期的なメンテナンスで原状回復費用を抑えられますか?
はい。定期的なメンテナンスを行うことで、原状回復時に修繕が必要となる箇所を最小限に抑えることができます。建物の維持管理に努めることが、コスト削減につながります。
まとめ
原状回復とは、賃貸契約終了時に物件を契約時の状態に戻す作業であり、オフィスや工場などの大規模施設では複雑かつ高額になることが多いです。契約内容や使用状況により修繕の範囲や費用が大きく変わります。
適切な業者選定と事前の見積もり取得が重要で、費用は数十万円から数百万円に達することもあります。契約時に原状回復の範囲を明確にし、トラブルを防ぐために業者との密なコミュニケーションを行うことが必要です。
F・Sプランニングでは、契約書の確認サポートから施工まで対応しています。原状回復の範囲や費用について不安がある方は、お気軽にご相談ください。