店舗・飲食店の原状回復費用相場は?業態別の坪単価・厨房解体や退去費用を抑えるポイント
飲食店や物販店舗の退去を決断した際、オーナーから提示された原状回復の見積金額を見て呆然としていませんか。
「坪あたり10万円以上もかかると言われたが、飲食店の解体費用は本当にこれほど高いのだろうか」 「厨房のダクトやグリーストラップの撤去だけで数十万円もかかるのは妥当なのか」
店舗の退去に伴う原状回復工事は、一般的な事務所(オフィス)の原状回復とは工事内容も費用構造も根本から異なります。特に油や水を大量に扱う飲食店では、分厚い厨房土間の破砕や大型換気設備の撤去、法令で定められた排水設備の処理など、専門性の高い重作業が密集するため、退去費用が膨らみやすい傾向にあります。
飲食店舗を中心とする業態別の原状回復・解体費用相場を徹底解説し、特殊設備の内訳費用や、退去コストを極限まで引き下げる「居抜き売却」の実践テクニックを紹介します。
目次
1. 店舗・飲食店の原状回復費用相場【業態別坪単価一覧】
・1.1 業態別の坪単価相場と総額目安
・1.2 飲食店の原状回復費用がオフィスより高騰する3大要因
2. 飲食店特有の解体・原状回復工事の内訳と単価目安
・2.1 厨房コンクリート土間のはつり・解体撤去費
・2.2 グリーストラップ(阻集器)の清掃・埋戻し・撤去費
・2.3 排気フード・大型ダクトの解体撤去費
・2.4 給排水管・ガス・動力電気幹線の切り離し工事費
・2.5 店舗看板・ファサード(外装)の撤去復旧費
3. 「居抜き退去(造作譲渡)」と「スケルトン戻し」の損益比較
4. 店舗退去で多発する3大トラブルと失敗事例
・4.1 造作譲渡の交渉が直前で決裂し解体工期が足りなくなった事例
・4.2 排水配管の油脂ヘドロによる階下漏水・損害賠償トラブル
・4.3 近隣店舗・住民からの騒音・悪臭クレームによる工事中断
5. 店舗・飲食店の原状回復費用を劇的に抑える4つの秘訣
・5.1 退去の6ヶ月前からオーナーへ「居抜き承諾」を取り付ける
・5.2 厨房機器や什器は専門買取業者に高価買取してもらう
・5.3 店舗解体の施工実績が豊富な直請け専門業者に依頼する
・5.4 契約書の原状回復特約を精査し不要な設備更新を拒否する
6. まとめ:飲食店の退去・解体は早めの準備と適正相場の把握が成功のカギ
1. 店舗・飲食店の原状回復費用相場【業態別坪単価一覧】

店舗物件の原状回復工事は、取り扱う商品や提供するサービス形態によって必要な設備が全く異なります。まずは業態ごとの費用相場を確認しましょう。
1.1 業態別の坪単価相場と総額目安
| 業態・店舗種別 | 坪単価相場(目安) | 20坪の場合の目安 | 40坪の場合の目安 | 主な解体設備 |
|---|---|---|---|---|
| 重飲食(焼肉・ラーメン・中華) | 6.0万〜12.0万円 | 120万〜240万円 | 240万〜480万円 | 大型ダクト、防水土間、グリスト |
| 一般飲食(居酒屋・レストラン) | 4.5万〜9.0万円 | 90万〜180万円 | 180万〜360万円 | 厨房設備、カウンター、給排水 |
| 軽飲食(カフェ・喫茶店・バー) | 3.5万〜7.0万円 | 70万〜140万円 | 140万〜280万円 | 簡易厨房、バックバー、レジ台 |
| 美容室・理容室 | 3.5万〜7.5万円 | 70万〜150万円 | 140万〜300万円 | シャンプー台、給湯器、床上げ |
| 物販・アパレル・雑貨店 | 2.0万〜4.5万円 | 40万〜90万円 | 80万〜180万円 | ディスプレイ什器、試着室、照明 |
1.2 飲食店の原状回復費用がオフィスより高騰する3大要因
オフィスの原状回復が坪2万〜3万円前後であるのに対し、飲食店の解体費用が坪5万〜12万円と跳ね上がる背景には3つの理由があります。
- 厨房の頑丈な防水層とコンクリート土間: 水漏れを防ぐために何層にも重ねて施工されたアスファルト防水やモルタル土間を重機や電動工具で破砕しなければならず、作業人工とガラ処分代が莫大になります。
- 大型排気ダクトと油脂・煤煙の除去: 天井裏やビルの外壁を伝って屋上まで伸びる排気ダクトの解体には高所作業車や足場が必要となり、付着した油汚れの産廃処分費も高額です。
- 産業廃棄物の種類と排出量の多さ: タイル、レンガ、コンクリート、ステンレス鋼、断熱材など多種多様な資材が混在し、品目別の厳格な分別解体が求められます。
2. 飲食店特有の解体・原状回復工事の内訳と単価目安
提示された見積書の金額が妥当かを検証するため、飲食店ならではの専門工事項目と標準的な単価目安を把握しておきましょう。
2.1 厨房コンクリート土間のはつり・解体撤去費
- 作業内容: 厨房の床面に施工されたコンクリート、モルタル、シンダーコンクリート、防水シートの破砕および撤去。
- 相場単価: 5,000円〜10,000円 / ㎡
- 査定の着眼点: はつり厚さが10cm未満か、20cm以上あるかによって作業日数が変わります。厚みの過剰申告がないか図面や現地実測で確認します。
2.2 グリーストラップ(阻集器)の清掃・埋戻し・撤去費
- 作業内容: 厨房排水の油分を分離するグリーストラップ内の油脂スラッジ引き抜き、高圧洗浄清掃、および埋設トラップの撤去またはモルタル埋戻し。
- 相場単価: 8万〜25万円 / 箇所
- 査定の着眼点: ビルの指示が「全撤去」なのか「清掃の上でモルタル密閉(埋戻し)」なのかによって工事費が10万円以上変動します。
2.3 排気フード・大型ダクトの解体撤去費
- 作業内容: 厨房上部のステンレス製フード、防火ダンパー、有圧換気扇、外部排気ダクトの切り離しおよび搬出処分。
- 相場単価: 15万〜50万円 / 一式
- 査定の着眼点: 外壁沿いの立ち上がりダクトがビル所有のA工事資産か、テナント所有のC工事造作かを契約書で明確に区分します。
2.4 給排水管・ガス・動力電気幹線の切り離し工事費
- 作業内容: メインバルブでの給水管閉塞、都市ガス・プロパンガスのメーター前切り離し、動力分電盤の撤去および端末絶縁処理。
- 相場単価: 10万〜30万円 / 一式
- 査定の着眼点: ガス管や水道管の切り離しは指定インフラ工事業者(東京ガスや水道局指定業者等)の立ち会いが必要になるケースがあり、工期に余裕を持たせることが肝心です。
2.5 店舗看板・ファサード(外装)の撤去復旧費
- 作業内容: ファサード看板、袖看板、窓ガラスのインクジェットシート剥がし、外壁ビス穴のコーキング補修。
- 相場単価: 10万〜35万円 / 箇所
- 査定の着眼点: 2階以上の高所作業車使用料や道路使用許可申請費用が含まれているかを確認します。
3. 「居抜き退去(造作譲渡)」と「スケルトン戻し」の損益比較
店舗退去時の出費を抑える上で最大の選択肢となるのが「居抜き(造作譲渡)」です。両者の損益を比較してみましょう。
| 比較項目 | スケルトン戻し(原状回復) | 居抜き退去(造作譲渡) |
|---|---|---|
| 解体工事費用 | 150万〜500万円の支払い発生(詳細は「スケルトン解体の費用相場」参照) | 0円(工事不要) |
| 造作売却収入 | なし(什器処分費用がかかる) | 30万〜200万円前後の売却益 |
| 保証金・敷金 | 原状回復費が差し引かれて返還 | 全額または大部分が手元に残る |
| 退去工期 | 解体工事に2週間〜1ヶ月必要 | 引き渡し当日の鍵交換のみ |
| 実現の難易度 | 契約通りに行うため容易 | オーナーの承諾と後継者探しが必要 |
表から明らかなように、居抜きでの引き渡しが成功すれば、数百万円規模の解体費用の支出を回避できるだけでなく、内装や厨房設備を資産として売却できる大きな経済的メリットが得られます。
4. 店舗退去で多発する3大トラブルと失敗事例
飲食店の退去現場で実際に発生した深刻なトラブル事例を紹介します。
4.1 造作譲渡の交渉が直前で決裂し解体工期が足りなくなった事例
居酒屋を運営していた店主は、自力で後継テナントを見つけ、造作譲渡の合意書を作成していました。
しかし、明け渡し期日のわずか10日前に後継候補が資金調達に失敗し辞退。オーナーから「期日までにスケルトンに戻せなければ賃料の2倍の遅延損害金を請求する」と通告され、突貫解体工事の割増料金と遅延ペナルティで多大な負債を抱える結果となりました。
4.2 排水配管の油脂ヘドロによる階下漏水・損害賠償トラブル
中華料理店が解体工事を行う際、配管内に長年蓄積していた油脂塊(ラード)を高圧洗浄せずに配管を切断したところ、管内に残っていた汚水が下層階の物販店へ漏水。
陳列商品や高級什器を汚損させ、数千万円規模の損害賠償請求に発展した痛ましい事例です。
4.3 近隣店舗・住民からの騒音・悪臭クレームによる工事中断
繁華街の雑居ビルでコンクリート土間のはつり作業を開始したところ、同ビル内の他店舗から「振動と騒音で営業ができない」と猛抗議を受け、工事が一時中断。
工事時間が深夜帯のみに制限された結果、工期が延び、人件費が想定の1.5倍に膨張しました。
5. 店舗・飲食店の原状回復費用を劇的に抑える4つの秘訣

飲食店の退去コストを極限まで圧縮するための4つのアプローチを紹介します。居抜き売却の法的注意点は「居抜き物件の原状回復義務と費用削減」も参考にしてください。
5.1 退去の6ヶ月前からオーナーへ「居抜き承諾」を取り付ける
解約予告通知(退去届)を提出する前に、まずはオーナーや管理会社へ「内装や厨房設備を残したまま次のテナントへ引き継ぐ居抜き募集を認めてもらえないか」を相談します。
オーナーにとっても、次のテナントが早く決まれば賃料収入の空白期間(空室ロス)を防げるという強い動機があります。承諾を得た上で店舗専門の仲介会社に登録し、早期に後継テナントをマッチングさせることが最善の道です。
5.2 厨房機器や什器は専門買取業者に高価買取してもらう
スケルトン解体を選択せざるを得ない場合でも、厨房機器を解体業者に処分させてはなりません。
製氷機、コールドテーブル、フライヤー、食器洗浄機などは、年式が5年以内であれば厨房専門の買取業者で高値が付きます。解体着工前に専門業者を複数呼んで査定してもらい、現金化しましょう。
5.3 店舗解体の施工実績が豊富な直請け専門業者に依頼する
飲食店の解体は、住宅やオフィスの解体とは全く異なるノウハウが求められます。
配管閉塞の確実な施工やダクト撤去の安全管理ができる「店舗解体専門の直請け業者」を選ぶことが不可欠です。中間マージンをカットできるだけでなく、近隣対策や産業廃棄物の分別処理にも慣れているため、トラブルのない安全かつ低価格な工事が実現します。
5.4 契約書の原状回復特約を精査し不要な設備更新を拒否する
賃貸借契約書に「造作の撤去」とだけ書かれているにもかかわらず、ビル側が「長年使用した換気扇本体や給水メーターまで新品に交換しろ」と要求してくる場合があります。
入居時の引き渡し状態(契約当初のスペック)を超える過剰な設備投資は、本来ビルオーナーが負担すべき資産形成です。特約の文言を厳密に照合し、不当な要求には毅然と反論することが肝要です。
6. まとめ:飲食店の退去・解体は早めの準備と適正相場の把握が成功のカギ
店舗や飲食店の原状回復工事は、厨房土間やダクト設備などの特殊構造ゆえに高額化しやすい工事です。
しかし、解約予告の早い段階から居抜きの可能性を模索し、厨房機器の買取や直請け業者への相見積もりを徹底することで、数百万円単位の退去費用を大幅に削減できます。提示された見積もりをそのまま受け入れず、客観的な相場価格を把握して冷静に対処しましょう。
F・Sプランニングでは、飲食店や物販店舗の内装解体・スケルトン解体工事の無料見積もりおよび現地調査を承っています。
「店舗解体の見積もり金額が妥当か知りたい」 「厨房設備の解体や配管処理についてプロの意見を聞きたい」
とお考えのオーナー様は、ぜひ「無料お問い合わせ・現地査定フォーム」よりF・Sプランニングへお気軽にお問い合わせください。豊富な施工実績を持つスタッフが、親身になって最適なプランをご提案いたします。
よくある質問
Q飲食店の原状回復費用はなぜオフィスより大幅に高いのですか?
厨房の防水コンクリート層(はつり工事)、屋上や壁面を通る大型排気ダクト、グリーストラップの清掃撤去、動力電源やガス配管の解体撤去など、特殊工事と産廃処理量が膨大なためです。
Q店舗の退去費用を最も劇的に削減する方法は何ですか?
「居抜き(造作譲渡)」での退去です。後継テナントに内装や厨房設備を有償または無償でそのまま引き継げば、数十万〜数百万単位の解体撤去費用をゼロにできます。
Q厨房機器は解体業者に撤去してもらうべきですか?
解体業者に任せると産業廃棄物処理費用がかかります。年式の新しい機器や厨房器具は、厨房機器専門の買取業者に事前に査定・売却すれば、現金化できて解体費用にも充当できます。
原状回復のご相談はF・Sプランニングへ
現地調査・お見積もりは無料です。お気軽にお問い合わせください。